大学入試

大学の首席の意味や決め方とメリットを私の経験から考えてみた

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大学の首席とは?

 

大学の首席という言葉をご存じでしょうか。

 

首席というのは、一般的な見解でいえば、ある集団の中で席次が1番の人のことを指すというような感じだと思います。

 

つまり、学生で考えると成績が1位の人という考え方でいいのではないでしょうか。

 

高校までは学年1位とか表現されることが多いですが、大学になると首席という表現をよく使います。

 

ネットを見ると首席に関していろいろな情報が出ています。

 

ネットには首席に関する質問もあるようですので、私も首席の一人として、少しは答えられるのではないかと思って今回の記事を書くことにしました。

 

プロフィールにも書いていますが、私は国立大学(総合大学の理系学部学科)で首席を取って卒業しました。

 

ここで質問があるとすれば、「首席って大学で一番成績のいい人のことですか?」ということだと思います。

 

この質問に対する私の答えは、「大学によって違うので必ずしもそうではありません」です。

 

日本に何百とある大学ですので、大学で一番成績のいい人を首席としているところもあると思います。

 

しかしながら、複数の学部があれば、学部によって勉強している学問が違うわけですので、他学部間で成績を比べることが可能なのかと言われると、多くの人たちが難しいと考えると思います。

 

私も他学部間での成績の比較は無理だと思います。

 

例えば、法学部の成績1位と理学部の成績1位と比べて、どちらが上かなんて比べられるわけがないですよね。

 

仮に成績を点数化したとしても、そもそも専門が大きく違うことから、先生たちも違うわけですので、当然評価の付け方も変わってきます。

 

やさしい先生から厳しい先生までいますので、その評価を他学部間で比べるのは無理でしょう。

 

もちろん比較できる形になれば評価を他学部間で比べることはできるようになりますが、そこから得られる意味は一体何でしょうか?

 

スポーツ選手と芸能人を比べるようなものですね。

 

その意味とは?

 

では、学部の成績1位の人を首席と呼ぶのかというと、私としてはこれも難しいと思います。

 

理由は先ほどと一緒です。

 

例えば、理学部だったとしても、その中にはいくつかの学科があったりしますよね。

 

物理・化学・生物・地学・数学など、学んでいることは様々ですので、それらの多くの学科を総合して1位を出すのは難しいでしょう。

 

野球選手とサッカー選手を比べるようなものです。

 

それでは、学科の1位の人が首席なのかというと、私としてはこれも難しいと思います。

 

理由は先ほどと同じです。

 

野球選手の投手と野手を比べるようなものです。

 

ここから先は大学によって表現の仕方がちょっと違ったりしますので、必ずしも同じではないのですが、今回の記事では1つの学科をさらに複数に分けたグループを「コース」と呼ぶことにします。

 

化学科がさらに複数のコースに分かれて、より専門的なことを学ぶという感じです。

 

このコースまで来ると、同じコースの学生は、ほぼ同じ専門を学んでいることが多いので、その成績を直接的に比べることが可能になってくると私は思います。

 

もちろん、同じコースの学生でも、教養や専門の選択科目については、全然違うものを履修している可能性はあるのですが、完全に同じ科目を履修している人じゃないと成績を比べられないとなると、大学で成績を比較することはほぼ不可能になってしまいます。

 

そのようなことから、ある程度のところで「折り合い」を付けないといけないのであれば、私としてはその折り合いを付けるところが「コース」なのだと思います。

 

野球の投手だけで成績を比べている感じです。

 

これだったら、OKなんじゃないでしょうか。

 

ただし、一つ手前の「学科」の時点で、専門の必修科目などが同じなのであれば、その時点で首席を決めてもいいと私は思います。

 

これは学科の講義内容や大学の規模によっても違ってくると思います。

 

規模が大きい大学だと、学科レベルでは、まだ多くの専門分野が入っている状態だと思いますので、講義内容が全然違いますから、学科の1位を決めるのは難しいと思います。

 

特に理系の場合はこの傾向があるのではないでしょうか。

 

つまり、これらを総合すると、私としては、首席とは大学の1位ではなく、学部の1位でもなく、学科の1位でもなく、それ(学科)以下の単位の「コース」などと言われる位置に来ることで、専門科目などを直接的に比べられるようになるので、首席として表現することが可能になるのだと思います。

 

最初に言いましたが、首席の考え方は大学によってさまざまです。

 

大学側が、法学部の1位と理学部の1位を比べてどちらが上かを決められる、物理学科の1位と数学科の1位を比べてどちらが上かを決められるというスタイルであれば、それはそれで首席と表現して正解でしょう。

 

他人が何か言うべき話ではありませんので。

 

さて、私が卒業した国立大学ではどうだったのかというと、学科をさらに小さくしたいわゆる「コース」と呼ばれるところでの首席判断をしていました。

 

そのようなことから、私の首席というのは「コース」での首席ということです。

 

このコースには偏差値70以上や60台後半の進学校卒など十数人がいましたので、その中で私が1位だったということです。

 

十数人に対して1人の首席がいるということは、もし、他学部でも同様の対応をしていれば、コースの人数に若干の差があることを考慮しても、私の大学の全学生数の4%から7%ぐらいの人は首席なのではないかと思います。

 

そう考えると、私と同じ卒業年次の学生には100人を大きく上回る数で「首席」がいるということになるのではないでしょうか。

 

それでは、この首席の人たちの中に、学科で首席の人や学部で首席の人、大学全体で首席の人がいるのかというと、ここまで説明してきたとおり「いない」ということになります。

 

私の大学では、それらを比較することは専門が違いすぎるからできないという判断でしょう。

 

首席に選ばれた人たちは全員にその可能性があるけど判定はしないということなのかもしれませんね。

 

ネットなどいろいろなところで、「首席です」という人たちがいるのを見たことがある人も多いかもしれません。

 

昔は、「首席」と名乗る人が多いなぁ~と思っていたのですが、自分が首席になってみると、コースレベルで首席の判断をしている場合には、確かに結構な人数の首席がいてもおかしくないわけです。

 

首席というのは、大学によって考え方が異なることと、首席について知らない人が多く勘違いされやすいことから、あえて説明しなければ、他の人からの評価を高くすることも「ある意味」可能です。

 

例えば、私は説明してきたとおり、コースの首席だと自ら言っているのですが、あえてコースと言わずに「私は国立大学で首席でした」とだけ言っても、ウソをついているわけではないことになります。

 

「私は国立大学で首席でした」と表現すると、見る人によっては、大学で成績が1位だった人なんだ~と思う人もいるでしょうし、在籍していた学部で成績1位だった人なんだ~と思う人もいるでしょう。

 

首席とは、大学で1位や学部で1位と思っている人が多いので、あえて説明しなければネット上や周りの人に対して自分の評価を高めることも、言い方次第で可能になるわけです。

 

学科よりさらに小さい区分である、いわゆるコースなどで首席を決めている大学もあるというのを初めて聞いた人も多いのではないでしょうか。

 

ちなみに、国立大学だったらこのような決め方をするところも、けっこうあるんじゃないかなぁ~と思います。

 

しかしながら、何らかの方法によって、本当に大学全体での1位である首席や学部の1位である首席を決めている大学もあるでしょうから、大学の首席と名乗る人がいたとしても「本当は違うんじゃないの?」とか思わずに、温かい目で見ていただけると、首席の端くれとしてはありがたいです。

 

大体の人は正直に話していると思いますので・・・

 

首席の決め方

 

ちょっと、最初の質問が長くなってしまいましたので、ここからはテンポを上げていきたいと思います。

 

次の質問は「首席ってどうやって決めるの?」と「首席ってどうやってわかるの?」です。

 

首席の決め方は、一般的には大学での成績で決めます。

 

高校の考え方と基本的には同じですが、高校の1位と大学の首席だと、必要なレベルは全然違います。

 

多くの普通科高校では体育とか一部の授業を除いて、ほとんどが座学だと思います。

 

しかしながら、大学は座学の講義・実習・ディスカッション形式・自分が他の学生(先生を含む)の前で講義する形式など科目によって多くの形式があります。

 

私は工業高校卒ですので、実習はよくしていましたが、大学になって初めてする形式の講義は多かったです。

 

ちなみに、私は高校時代常に学年1位でしたが、大学で首席を取る方が多くの能力を必要とすると感じました・・・当然ですね。

 

つまり大学で首席を取るためには大学1年生の時点から、座学としての勉強は当然できた上で、レポートの内容やその提出状況、実習のレベル、他者への説明の上手さ、まじめさ、出席状況、テストの点数など総合的な高評価を取ることが必要になります。

 

単に出席状況だけが良くてまじめというだけでは首席は無理でしょう。

 

また、テストの点数が良いだけでも難しいということです。

 

総合的な力が必要ですね。

 

次に、どうやって首席だと知ることができるのかということですが、これも大学によって違います。

 

成績表に席次(順位)が記載されている大学もあるということを聞いたことがあります。

 

私はどうやって首席だと知ったのかというと「口頭」で知りました。

 

大学4年生のある日、私が一人でいたところに先生がやってきて「コースの1番だったから~」とさらっと言ってきました。

 

私も「あ~そうなんですか~」ぐらいの、さらっとした感じです。

 

これで終了です。

 

他の学生には知られないように、私が一人のタイミングで話してきたので、他の学生はコースの首席が誰なのか知りませんし、そもそもコースに首席の制度があるのかどうかすら知らないと思います。

 

首席だと言われた人だけが知っているということなのかもしれませんね。

 

1位の学生にはそれを伝えないといけないルールがあるのかどうかさえわかりません。

 

私はコースの1番だと先生から言われたことを、他の学生には言いませんでしたので、誰も知りません。

 

それを他の人に言う必要もありませんから。

 

ちなみに、他の国立大学の学生の話ですが、その人も首席だと口頭で言われたという話を見たことがありますので、国立大学は口頭も多いのかもしれません。

 

コースの1位だと言われた時の私の感想としては、「ふ~ん」という感じでした。

 

特に喜ぶこともありません。

 

イメージとしては「好きな給食でも嫌いな給食でもない日の給食」という感じです。

 

「まあまあ」です。

 

首席のメリットとは?

 

最後の質問は「首席を取るメリットってあるの?」ということです。

 

首席を取るメリットも大学によって様々です。

 

何かしら表彰されたり、それに特典が付いたりするところもあるでしょうが、私の大学では一切ありません。

 

よく卒業式の時に学部の代表や総代となって卒業証書をもらったり、成績優秀者として表彰されたりするということも聞きますが、それも大学によって全然違います。

 

私の大学では、当時、成績優秀者の表彰はありませんでした。

 

どの学部の人も成績優秀者として名前が呼ばれることはありません。

 

また、私の大学の場合、卒業証書をもらうのは大学の首席や学部の首席ではありません。

 

そもそも、そのような大学全体の首席や学部の首席の判定をしていませんので・・・

 

では、誰がもらうのかというと、これは聞いた話ですが「持ち回り」ということでした。

 

例えば、1つの学部に5つの学科があって、1つの学科に5つのコースがあった場合、1つの学部に25のコースがあることになります。

 

そうなると、その学部に首席が25人いることになりますので、学部の代表になるのは、それぞれのコースが25年に一度というイメージになります。

 

もし、1つの学部に5つの学科があって、1つの学科に4つのコースがあれば、20年に一度というイメージですね。

 

つまり、卒業式で学部の代表になるのは、偶然が必要ということです。

 

また、大学に10学部あったとすると、総代も持ち回りでしょうから、各学部が10年に1度というイメージになります。

 

だから、卒業証書を代表でもらうのは完全に運です。

 

ちなみに、私はコースの首席ではありましたが、その役割が回ってくることはなかったので、運がなかったということですが、だからといって代表になりたいという気持ちはまったくありません。

 

卒業証書を受け取りたい人ってそんなに多いのかな?

 

記念だから多いの?

 

それでは、他にメリットがあるのかというと、首席という言葉をもって就職が有利になるということは考えにくいのですが、首席になるまでの過程を考えると就職に有利になる可能性はあります。

 

どういうことかというと、首席の人はそれだけ勉強しているということです。

 

首席になるために努力したことが、就職試験に成績として現れることは十分に考えられるということです。

 

せっかく大学に入ったのであれば、首席を目指してみるのもいいのではないでしょうか。

 

  • この記事を書いた人

マナブ

偏差値40台前半(※)の工業高校から、センター試験ありの推薦により、現役で国立大学(総合大学の理系学部学科)に合格 工業高校での成績は、高校3年間常に学年1位 塾・予備校・家庭教師・通信教育など一切利用せずに、独学でセンター試験(現在でいう大学入学共通テスト)5教科5科目受験【平均得点7割弱】 得意科目は数学【センター試験の得点は8割弱】 普通科高校の進学校出身者(偏差値70以上や60台後半の高校※)など十数人が在籍する国立大学の理系学科のコースを成績1位(首席)で卒業 就職は、就職氷河期の中でも最も厳しいといわれた数年間の「超氷河期」の年に大学4年生である22歳を迎えたが、第一希望の某自治体(地方公務員)の上級職に採用され入庁 現在は公務員を退職し、高校・大学時代に独自の勉強方法(現在はさらに改良)を確立した経験を活かしながら、教育関連の分野に力を入れている ※ ・・・ 当時の偏差値が確認できなかったため、現在の高校の偏差値を記載しています なお、当該高校の県内での序列やレベルが当時と変わらないため、偏差値が当時と現在で大きく違うことはないと考えています

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