工業高校生が国立大学の推薦入試で不合格になった時のリスク

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推薦入試対策だけだと学力が不足する場合も

 

推薦入試の種類によっては、普通科高校の進学校と競うことなく、専門高校同士の試験で合格を勝ち取ることができるのがメリットなのですが、定員がある関係上、どうしても不合格になる人が出てきます。

 

受験生によっては、一般入試は難しいかもしれないけど、推薦であれば合格できるだろうと思っている人もいるようなのですが、そう簡単ではありません。

 

今回は、国立大学の推薦入試で不合格になった時のリスクについて話をしたいと思います。

 

どのようなリスクがあるのかというと、最大のリスクは一般入試と推薦入試の試験内容がかけ離れていることだと思います。

 

最近の国立大学の推薦入試の試験内容を見ると、大学入学共通テスト(以前でいう大学入試センター試験)を2~3科目しか課さない、または一切課さない学部学科が多い印象です。

 

また、面接や小論文、場合によっては口頭試問を課したりするわけですが、その試験内容は一般入試とまったく異なるものです。

 

希望の大学に合格できた場合にはいいのですが、もし不合格になってしまった場合には、次の進学先を考えるのが非常に難しい人も出てきます。

 

なぜかというと、どうしても推薦入試の試験内容を中心に勉強していますので、学力が不足してしまうケースが多々あるからです。

 

不合格になった時のことを考えてみることも必要

 

推薦入試経験者はよくわかることなのですが、推薦入試に対応するためには、想像以上に「時間」が必要になります。

 

これは推薦の経験がある人以外はなかなか理解しづらいのかもしれません。

 

高い評定平均でなければ推薦の対象にならない場合もあるわけですので、基本的には全科目好成績であることが求められます。

 

もちろん大学の学部学科によりますが、推薦の種類によっては、例えば3科目で評定が5・4・4のペースだと、このまま全科目いければ推薦の対象にはなるかもしれませんが、ギリギリすぎるかもしれません。

 

つまり、ほとんどの科目で5を取る学力が必要になりますので、それには予習・復習が必要になる人もいるでしょうし、当然ですがテスト前には十分な勉強が必要になります。

 

またこれは、いわゆる座学だけではなく実習などでも好成績が必要になるわけです。

 

テストの点数以外も評価されることになります。

 

また、調査書の評価を高めるために、生徒会活動やボランティア活動、部活動など課外活動に力を入れている人も多いでしょう。

 

さらに、専門高校生であれば、専門の能力をアピールするために難易度の高い資格取得に挑戦したりする人もいるでしょう。

 

そして、推薦であればほとんどの人に課されるであろう面接対策と小論文対策が必要になります。

 

これらすべての対策をしつつ、大学の学部学科によっては大学入学共通テストを少ない科目数であるかもしれませんが課す大学があるわけです。

 

国立大学で通用するレベルまで学力を高めるためには、相応の勉強時間が必要なのですが、推薦で国立大学の合格を狙う場合には、推薦入試に対応できるようにするために5教科の勉強以外(全科目の勉強・課外活動・資格取得・面接対策・小論文対策など)に相当な時間が必要になります。

 

私も国立大学に推薦で合格していますので、5教科の勉強以外に推薦対策としてどの程度の時間がかかったのか、計算してみたいと思います。

 

時間がわかったらまた記事にしたいと思います。

 

このようなことから、国立大学の推薦入試対策をしながら、その国立大学に一般入試で合格できるレベルの得点を大学入学共通テスト(以前でいう大学入試センター試験)で取ることは極めて難しいわけです。

 

圧倒的に勉強時間が削られますから・・・

 

国立大学の推薦入試に合格して、その大学の一般入試でも合格できる学力を持つ専門高校の受験生は全国的に見ても極めて少ないです。

 

そのレベルの受験生であれば、推薦対策に当てた相当な時間を5教科7科目の勉強時間に当てることによって、現役の一般入試で旧帝大に合格するのも難しくないでしょう。

 

実際に、工業高校から東大をはじめとする旧帝大に合格する人もいるわけですので、特に驚くことではありません。

 

そもそも普通科高校の進学校卒の人たちは一般入試で国立大学を受験するのであれば、専門高校生がするような推薦対策はしないわけです。

 

5教科7科目の勉強に集中するのですから、受験に関係ない科目で好成績をめざす人もほぼいないでしょうし、課外活動をしなければならないわけでもありませんし、英検など5教科7科目に関係する資格をめざすことはあっても、5教科7科目と全く関係ない資格を取らないといけないこともありません。

 

当然ですが、面接対策や小論文対策も必要ないです。

 

進学校などの普通科高校生が国立大学を一般入試で受ける場合にはこのような形になるのが通常ですが、これらの推薦対策をすべてクリアしながら国立大学に一般入試で合格できる能力のある専門高校生は学力的に優れているのがわかるのではないでしょうか。

 

進学校と工業高校は5教科の授業数やその難易度・進度に相当な違いがあることを考えると、なおさらそのすごさがわかると思います。

 

実際にそのレベルにある人たちは、地頭もすごいのですが、勉強の効率が非常に良いこともその要因になっているわけです。

 

その効率の良さは進学校の人たちも驚くと思います。

 

しかしながら、工業高校などの専門高校から国立大学に進学しようとする多くの人たちは推薦入試でしょうから、もし不合格になった場合には学力的に厳しいので、前期・後期の一般入試を受験しても残念ながら不合格になってしまう人が多いと思います。

 

どうしても国立大学に進学したいと考える人は浪人して翌年に再び受験しようと思うでしょう。

 

一浪して合格できればいいのですが、高校時代に推薦対策ばかりしていた人にとっては、「本格的な5教科の入試対策が浪人生になってから」ということは、実はよくある話です。

 

共通テストが課されないタイプの推薦であれば、なおさらその可能性が高まるかもしれません。

 

前回の記事といい、今回の記事といい、見る人によっては、私が専門高校生の推薦入試に対して否定的に感じる人もいるかもしれませんが、そうではありません。

 

私自身が推薦入試で合格していますので、基本的には専門高校生の推薦入試には肯定的です。

 

私が心配しているのは、推薦を狙う人が増えれば増えるほど、もし合格者の定員が変わらない限り、不合格者が増えるということです。

 

推薦対策ばかりしていて不合格になった場合、どのような進路を取るのかまで考えたうえで、推薦対策を始めることが必要だと思うからです。

 

推薦も簡単には合格しませんから。

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