ストップ高銘柄も初押しは買い?
みなさん株式投資に「初押しは買い」という相場格言があるのをご存知でしょうか。
簡単に意味を説明すると、株価が上昇した後、最初に押した(値下がりした)時は、買う方がいいということです。
ストップ高になると一般的にイナゴと呼ばれる投資家も含めて多くの投資家が購入してきますよね。
ストップ高銘柄が初押しを迎えたら、買いなのかどうか疑問に思いましたので、相場格言にあるように初押しは買いの戦略を取ったらどうだろうかということで、検証してみました。
初押しの定義とは
そもそも初押しの定義とは何かということが問題です。
私が知る限り、初押しの定義はありません。
ストップ高になる前の直近安値からストップ高以降の高値の間で、何パーセント下落したら初押しと考えられるのかが問題です。
1/3押しかもしれませんし、半値押しかもしれませんし、2/3押しかもしれません。
もしかすると、フィボナッチの38.2%押し、61.8%押しかもしれません。
トレンドが強く継続する場合には、1/3押しや38.2%押しの可能性もありますが、それだと含み損を抱えた多くの売りたい投資家が、まだたくさんいる可能性もあります。
ということでとりあえず、ある程度値下がりした段階ということで、半値押し(1/2押し)で検証してみることにしました。
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検証方法
検証のやり方としては以下の通りです。
直近安値からストップ高以降の高値の半値押しをした翌日以降に、再び半値の価格を超えた場合に購入するというやり方です。
何言ってるのかよくわからないですよね・・・
具体的に言うと、例えば直近安値が1000円でストップ高以降の高値が1400円であれば、1000円と1400円の半値である1200円以下まで株価が値下がりした翌日以降に、再び1200円に上昇した場合には1200円で購入するということです。
できるだけ多くの銘柄で検証するために、ある一定期間の間で1日に1度も取引がないことがあった銘柄などは除きましたが、基本的には各日のストップ高銘柄で検証してみました。
なお検証したのは、トレンドが下降トレンドの時(年も月も異なる50日程度の日数)を中心にしました。
延べ数百銘柄だと思います。
なぜこの期間で検証したのかと言うと、強い上昇トレンドであれば、普通に株価が上がる可能性があるため、下降トレンドや弱い上昇トレンドなどで検証することで、悪いトレンドなどの中でも株価が上昇していくのであれば、本当に「初押しは買い」と言えるのではないかと思ったからです。
売り買いの考え方は、1%から10%までは1%刻みで、それ以降は100%まで2.5%刻みで検証してみました。
例えば、購入後にプラス10%になれば利益確定売り、マイナス10%になれば損切りというような形で、どちらが先に来るのかを、1%から100%までで検証してみました。
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検証結果
結果は以下の通りでした。
ちょっと見づらいですが、損益率が1%から32.5%までは、トータルで損益がマイナスになりました。
つまりプラスになる銘柄もマイナスになる銘柄ももちろんあるものの、トータルで言うと金額的に損失の方が大きくなってしまうという結果でした。
これは基本的に、その期間のストップ高になったほとんどの銘柄を入れて検証したということも影響があるかもしれません。
なお、グラフの35%から100%までは利益率が大きくなるほど損益額もプラスになる傾向が見えると思います。
例えば50%で考えると購入後にプラス50%になったら利益確定売り、マイナス50%になったら損切りするというやり方です。
どちらに先に到達すのかということです。
なお、このグラフの縦軸の単位は100円ですので、グラフの1番上は500万円です。
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損益率が高くなるとプラスが大きくなるのであれば、利益率を高く設定しておけば儲かると思うかもしれませんが、そう簡単にはいきません。
なぜかというと、例えば損益率100%の場合だと、1200円で買った場合には、プラス100%つまり1200円の儲けが出るのが先か、マイナス100%つまり1200円の損失が出るのが先かということです。
損益率100%だと1200円で買った場合には、株価が2400円になるのが先か、株価が0円になるのが先かということです。
株価が0円になるというのは紙くず(電子くず?)になるということですよね。
つまり、損益率がマイナス100%になることはほとんどないので、損益はプラスになりやすいわけです。
ただし、1200円で買った場合に、株価が2400円にも0円にも達しなければ、単なる含み益か含み損になっているということです。
そうなると、損益率100%で決済すると考えた場合、利益確定売りも損切りもできない銘柄が多くなり、相当な資金が拘束されることになります。
毎日何銘柄もストップ高があるため、損益率を高く設定するほど利益確定売りも損切りも難しくなり、相当な資金が拘束され、現実的には莫大な投資資金がない限り不可能な取引ということになります。
例えば50%で考えても、1200円の場合だと1800円になるのが先か、600円になるのが先かということになります。
600円から1800円の間で株価が推移すると、いつまでたっても決済できないということになります。
損益率を低くすると
それなら、拘束資金を減らすために、もう少し損益率を低くすればいいのではないかと思うかもしれませんが、損益率が低い場合はグラフを見てわかる通り、損益はマイナスになります。
初押しは買いを否定するわけではありませんが、利益を狙うためにはストップ高以降で単に初押しだから買うということではなく、その銘柄の人気やストップ高になった理由、売板の株数と買板の株数の割合、その時の相場状況(トレンド)など総合的に判断しないといけないということではないでしょうか。
そもそも何をもって初押しというのかも定義がないわけですので、自分では初押しだと思って、今買えば値段が上がるだろうと考えていても、多くの人がその値段では、まだ初押しとはいえないと考えていれば、さらに価格が下がる可能性はおおいにあるわけです。
なお、今回の検証日数や銘柄数だけではわからないことももちろんあります。
また、トレンドが悪い時を中心に検証しましたので、トレンドが良い時のみであれば違う結果になるのかもしれません。
興味のある方は検証してみてはいかがでしょうか。