損切りの必要性の有無は運用方法次第
株式投資で最も大きなテーマの一つが損切りではないでしょうか。
日常的な株価の下降だけではなく、アルゴリズムなどによるナイアガラ的な下落で狼狽売りやパニック売りをしないためにも損切りのしっかりとした考えを持っておくことが大切です。
しかしながら損切りについては、人それぞれで良いことだとみるか、悪いことだとみるか見方や意見が全く異なるため「損切りをするのかしないのか」するとすればどのような条件で行うのかなど難しい問題でもあります。
今日は損切りについて考えてみたいと思います。
損切りについてはその必要性の有無について多くの場面で取り上げられていますが、私としてはそれぞれの投資家で取引している銘柄や株価、保有数量、投資期間(スイングトレード、短期投資、中期投資、長期投資)、購入資金額などが全然違うため単純に損切りが必要とか不必要とかいう話ではないと思っています。
名前 | 株価 | 保有数量 | 購入額 | 投資期間 | 総資金額 | 総資金に対する値下がり率 |
A | 500円 | 100株 | 5万円 | 長期投資 | 100万円 | 0.5% |
B | 3000円 | 200株 | 60万円 | 中期投資 | 200万円 | 3.0% |
C | 7000円 | 300株 | 210万円 | 短期投資 | 300万円 | 7.0% |
D | 10000円 | 400株 | 400万円 | スイングトレード | 400万円 | 10.0% |
例えば、上の表でいうと、仮に同じ下落率10%だったとしてもA~Dさんの損切の必要性は全く違ってくると思います。
Aさんは総資金額100万円に対して購入した5万円の株の10%が値下がりした、つまり100万円に対して5000円値下がり(値下がり率0.5%)したことになります。
Dさんは総資金額400万円に対して購入した400万円の株の10%が値下がりした、つまり400万円に対して40万円値下がり(値下がり率10%)したことになります。
ましてAさんは長期投資、Dさんはスイングトレードで投資期間が違うことから、期間的に考えて再度上昇する可能性がどちらが高いかというのもポイントになります。
この表でいうと損切りの優先順位が高いのはD>C>B>Aの順ですよね。
私としては、特にDさんのような取引をしているのであれば圧倒的に損切りが必要だと思いますし、逆にAさんの場合には当初の購入理由に変化がない下落であれば損切りの必要性は無いと思います。
BさんやCさんについては意見がわかれるかもしれませんね。
私の損切りの考え方
私の考え方についてもう少し話をしたいと思います。
結論から先に述べると私はあまり損切りをしない取引をしています。
もちろんいつも含み益が出て利益確定売りばかりしているということではなく、当然ながら含み損(評価損)もあります。
ただしそれでもあまり損切りをしませんし、ここ4ヶ月ぐらいでいうと一度も損切りしていません。
このように書くとものすごく利益が出ていそうなのですが、そういうことでもないから残念なところなのですが・・・
なぜ損切りをあまりしないのかというと、私も初心者の頃は基本的に株の入門本などに書いてある通りに忠実に損切りをしていました。
確かに損切りをした方が大きな損失になることは避けられるため大きなリスクを背負わないで済むというメリットはあるのですが、当時の運用成績でいうと圧倒的に実現損が多くなってしまって全くもって成績が良くありませんでした。
しかしながら、私が損切りした銘柄を数週間から数ヶ月後に再度確認してみるとかなりの確率で私の買値よりも値上がりしていました。
結局のところ一時的に値下がりしていたのに過ぎなかったのかもしれません。
もちろんその時の相場環境の影響もあったわけですが株取引をしていると当然値上がりしたり値下がりしたりの値動きがあるわけですので、多少下落したぐらいで毎回毎回のように損切りするという売り方をしていてはそう簡単に利益を出すのは難しいと感じたからです。
ただし入門本などではその多くが損切りすることをおすすめしています。
この問題は非常に難しい面があり確かに損切りせずに売るタイミングを間違ってしまうと大儲けどころか大損する可能性すらあります。
しかしながら先ほどの表のように投資家それぞれで運用方針が違うので必ずしも全員損切りが必要だとは思いません。
例えば、先ほど言った通り私はあまり損切りはしないのですが、もし一度に購入する金額が大きいのであれば当然損切りすると思います。
具体的には1000万円使って1銘柄を取引した場合に3%値下がりしただけで30万円の損失になりますし、そこで損切りせずにそのまま持ち続けて10%の下落になったら100万円の損失になるからです。
このように1銘柄を高額で運用している場合には私だったとしても当然損切りをします。
もちろん私は現在1000万円使って投資はしていないわけですので、ただの空想でしかないのですが、人によっては本当に1000万円を使っている人も結構いるんだと思います。
では、そのような人たちが必ず損切りしているかというと、これも人それぞれで、例えば投資に使える予算が1億円ある人にとっては30万円の損失は0.3%の損失ですので全体の金額からすると、どうしても損切りしないと精神的な負担が大きすぎるという金額ではないわけです。
だからこそ、それぞれの運用方法が違うため損切りの必要性については一概にいえないのだと思います。
仮に下落したとしても検索の結果、その企業へ投資した時の理由に変化がない場合、例えばファンダメンタルズなどの業績が悪くなったとか、よくない材料のIR(投資家向け広報)が発表されていないのであれば、そのまま含み損を抱えて持ち続ける(放置する)というのも選択肢としてはありだと思います。
しかしながら当初の購入理由が崩れたのであれば売却も考えなければならないでしょう。
基本的に私があまり損切りをしないというのは私の過去の経験と、どうしても損切りしないと精神的に耐えられないというような投資のやり方をしていないからだと思います。
含み益が出ている株価から含み損になる価格に値下がりする場合には利益が出るギリギリの価格で、損切になる前に売却し損失を出さないように薄利で売ることは割とよくあるのですが、すでに含み損になっている銘柄であれば業績に変化がない場合、一般的にはあまり推奨されていませんが十分な検討をしたうえで押し目買いだと思ってさらに買い増すこともあります。
一般的にいわれる損切りラインは何%
損切りの方法はいくつものパターンや一般的なルールがあるのですが、その中でも初心者が実行しやすいのが購入価格から何%下落したら売却するというやり方だと思います。
ではこの%はいったい何%で損切りするのがいいと言われているのかは、基礎知識として知っていたほうがいいと思います。
これについては、本やブログ、サイトごとに違うわけですが、損切りを早くするように進めている場合には2%から5%、ある程度遅い場合でも10%程度が多いのではないでしょうか。
ただ私が投資してきた結果でいうと5%程度の下落はあっいう間です。
ボラティリティー(価格変動)が大きい銘柄であればあるほど、下落が激しい日に1日で5%値下がりすることはそう珍しいことではありません。
特に相場全体が短期的な下降トレンドになれば、2~3日で10%程度の値下がりも十分ありますので、私としては基本的に5から10%程度の損切りラインというのはあっという間なんじゃないかなと思っています。
私が初心者だった頃には、このやり方をして損失が多かったので、一般的にいわれる損切り貧乏になっていたのではないかと思っています
この損切りの実行に関しては人それぞれの考えが違うので何が正解というのはわからないですが、もしすでに損切りをしながら利益を増やせているということであれば勝ち方や必勝法的なテクニックもわかっている「儲かる人」でしょうからそのままのやり方で運用していくべきですし、逆に毎回のように損切りになってしまって全く利益が出ないという投資家であれば多少含み損が出て評価額が下がったとしても現物株であればもう少し持ち続ける(放置する)ほうが良い結果をもたらし、新しい勝ち方を見つけることができるかもしれません。
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損切りしたほうがいい投資家
私が基本的に損切りしたほうがいいと思う投資家は自分で損切りができない人、1銘柄に高額で投資している人、短期間で売り買いする人、大きめの含み損が精神的な負担になる人です。
損切りが自分でできない人は相場環境が短期的に悪くなったということではなく、その企業のファンダメンタルズやテクニカルが当初想定していたものより、はるかに悪くなったとしても損切りができない人である可能性が高いため値段や下落率など何らかの方法でラインを決めて逆指値で機械的に売却し現金化するほうがいいと思います。
ただし、将来的なことも考えてこのような人は自分の意志で損切りすることができるように値幅の小さな安い銘柄ででも練習しておくことも大切です。
また、楽しい投資をするためにも精神的な負担になっては意味がないのでその点は注意が必要です。
購入金額にもよりますが、売り買いには手数料がかかってきますので損切りをすればするほど、そのぶん手数料がかかってくることも頭にいれておきましょう。
証券会社としてはありがたいと思うのかもしれませんが・・・
損切りせずにそのまま持ち続けて必ずしもうまくいくというわけではないのも事実ですし、大損はしないまでも失敗することもあります。
もっと早く損切りしとけばよかったのかなーとか売り時を間違えたかなーと、最初の頃買っていた株については思うのですが、運用方法を変えてから買った株については株価が大きく下落した場合には相場状況やテクニカル、ファンダメンタルズを考慮した上で必要があれば一定の下落金額ごとに買い増すことを考えていますので、まぁ~値下がりしたとしてもそれはそれでいいかなと考えています。
運用方針を変える前に購入していた株に関しては多少塩漬け状態かなと思うものもありますが、その銘柄の業績も変わっていないため銀行に預けていると思って配当金をもらえればいいやと考えています。
普通に銀行に預けるよりはるかに良い利回りですので、それはそれでいいのかなと思っています。
最終的にはあなたがどんな投資の仕方をしているかということに損切りの必要性は最も影響を受けるのではないでしょうか。
もし投資に使える金額の多くが含み損になっている場合には利益を生むことが難しいので損切りが必要でしょうし、そうでない場合には一般的に損切りが必要だといわれているからといって無理して損切りする必要はないのだと思います。
もう一度自分の運用方針を再確認してみるのが儲かるコツの一つではないでしょうか。
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今の相場環境では損切りしてまで、この銘柄を購入したいというのがないためそのまま持ち続けていますが、もしそのような利益を上げられそうなものを見つけた時には、他の銘柄を損切りしてでもそこに資金を投入することも検討してみたいと思います。
このまま利益が保てれば年末に損出しをする可能性は十分あると考えていますが、直近では損切りをすることはない予定です。
まぁ~未来のことはわからないので、これからまた方針が変わるかもしれませんが・・・それではまた!
本日のまとめ
- 株取引のやり方次第で損切りが必要かどうかは異なる
- 損切りは株価、保有数量、投資期間、総購入資金額などから総合的に考えること
- 当初の購入理由が崩れたのであれば損切りも必要
- 1銘柄に高額で投資している人、大きめの含み損が精神的な負担になる人は損切が必要
- 自分の運用方針を再確認する