株式投資とリスク
株式投資にリスクはつきものといいますが、これから株取引を始める人にとってはリスクというのはかなり不安な面がありますよね。
残念ながらあらゆる投資においてリスクなしに利益を得ようというのは不可能です。
もしリスクなしに利益が得られるのであれば、私もぜひそのような投資をしたいのですが、当たり前ですけどこれがないんですよね。
しかしながら、何も検討せず策を持たずに取引をするのと、できるだけ安全にリスクを抑えながら取引をするのとでは、その危険性は全く違ってきます。
本日はできるだけリスクを抑えた投資のやり方についてをテーマに話をしたいと思います。
最初に残念な事実をいいますと株式投資で大きく儲かることを考えるのであれば、相応のリスクを背負わなければなりません。
リスクを大きくすればするほど大きく儲かる可能性も高くなりますし、大きく損をする可能性も高くなります。
つまりハイリスクハイリターンです。
例えば日経平均株価や 東証株価指数(TOPIX)が大きく下がり、短期的な調整局面に入ったとします。
ここで下がった時に他の人よりも早く、この辺りが底値だろうということで入れる投資家は大きなリスクを背負って投資をしているということです。
もし本当にそのポイントが株価の底値であれば、その投資家は一番の底で買うことができ、その後値上がりすることで大きな利益を上げることができます。
しかしながら、そのポイントが本当の底ではなくさらに値下がりした場合には、その投資家は入るポイントの選定に失敗したため、購入株数が多ければ大きな損失を被ることになります。
このようにリスクを大きくとれば基本的には大きな利益か大きな損失のどちらかのパターンになることが多々あります。
しかしながら、初心者であればあるほどこのようなリスクのある投資方法は避けるべきであるため、リターンは少ないとしてもリスクを抑えることを考えるべきだと思います。
複数銘柄に分散投資
まずリスクを抑える株の売り買いの方法としては、投資資金をできるだけ複数の銘柄に分散するということです。
一つの銘柄しか購入しないのであれば、その銘柄が大きく値下がりしたり万が一にも暴落した場合には投資している資金の多くを含み損(評価損)にしてしまうことになりますし、場合によってはマイナスに耐えきれずに損切りしなければならないことになります。
このようなことを避けるためにも複数の銘柄で売買することはリスクを分散するための手法の一つです。
例えば、100万円投資するのであれば平均的な値段の株でも5銘柄前後購入することができますし、値嵩株であればそこまで買えないものの、低位株であればもっと多くの銘柄を買うことができます。
多くの銘柄を購入することに対しては、賛否があるため反対意見の人もいるわけですが、私としてはあまりにも銘柄数を多くしすぎるのも良くはないと思いますが、1つや2つの銘柄に絞るというのも良くないと思います。
とりあえずは購入資金と銘柄数とのバランスが大事だと思いますので、100万円で10銘柄購入とかは私としてはあまりおすすめできません。
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時間分散
どうしてもこの銘柄がいいとか、自分が自信のある「少ない銘柄数」で勝負したいという人もいると思います。
そのような投資家ができるだけリスクを減らして投資する方法としては、時間的分散を取るべきだと思います。
例えば、注目していた銘柄(100株単位)が、ある程度値下がり し、これ以上は下がらないだろうと思って、今がチャンスだと1000株購入したりする人がいます。
しかしながら本当にその価格が買うべき価格だったのかどうかは、その後の株価の推移を見て結果論でしかわからないことです。
購入資金が十分あるのであれば、一度に1000株購入しても問題はないと思いますが、資金量によっては一度に多くの株を購入し、その後値下がりしてしまうことによって致命的な失敗になる可能性もあります。
そうならないためにも重要なのは時間分散をするということです。
例えば1000株購入するにしても3回から5回ぐらいとかで分割して購入すると、もし最初に買った価格よりさらに値下がりしたとしても平均取得単価を下げることができるのでリスクを減らすことが可能です。
購入回数を増やすと平均取得単価は買い始めてから買い終わるまでの平均的な金額になります。
この時間的な分散は1日の取引のなかでもそうですし、1週間のなかで複数回にわけて購入したり、もう少し長い期間で分散するなど、やり方は地合い(相場状況)を見ながら変えればいいです。
もしかすると最初に1000株購入しようと思った値段が、実は最も安い価格であったということもあるのですが、逆に実はその後もっと安い価格があったのに早く買いすぎてしまったということが結果論でわかるかもしれませんので、リスクを抑えようという投資をするのであれば、時間的な分散を取るということは意識して取引していた方がいいです。
下のチャートをご覧ください。
これはトヨタ自動車の2017年10月から2018年7月23日までの株価チャートです。
赤丸は月初めの日を表しており、時間分散をし各月とも月初の終値で購入すると10回の平均取得単価(青線)が7106円になります。
2018年7月23日の終値が7311円ですので、時間分散をしたことで含み益を出すことに成功しています。
理想的には2017年10月や2018年4月に大量に購入できていれば大きな利益を手にすることができたのでしょうが、もし2018年2月に大量に購入していたら損失が大きくなっていたかもしれません。
だからこそリスクを避けるために時間的分散をし、そのおかげで平均的な金額で購入ができているということです。
また、2018年5月・6月は平均取得単価の値動きを大きくするような価格ではなく、6月購入時点までの平均取得単価は7111円で、5月購入時点までの平均取得単価は7109円であり、緑色の破線円で囲んでいる7500円程度の株価で売れば、そこそこ大きな利益があげられたことになります。
つまり、時間分散をしたおかげで、ここ3ヶ月ぐらいは儲かることができるポイントがかなりたくさんあったということがわかります。
なお、今回の例は月初の終値で購入していますが、買うタイミングは定期的に買ったり、大きく値段が下がったときには特別に追加で買うなど、あなたに合うやり方を検討してください。
今回はみなさんが知っているトヨタ自動車を例にしましたが、このような値嵩株を複数回購入するのは金銭的に難しいので、もっと単価の安い株で始めてみるといいと思います。
日経ダブルインバースで暴落リスクを低減
また他にリスクを抑える手法としては、あなたが日経平均株価が上昇していくと考えるのであれば当然何らかの銘柄を購入するはずですが、実際にはあなたの考えとは反対に日経平均株価が下落する可能性もあります。
そうなるとあなたが購入した銘柄も値下がりするかもしれません。
そのような時のためのリスク回避の手法としてETFの日経ダブルインバースを購入するという手もあります。
簡単に説明すると、この日経ダブルインバースというのは、日経平均株価が値下がりすれば値上がりするという反対の動きをする銘柄です。
これを購入しておくと、日経平均株価が値下がりしたことであなたが保有している銘柄が値下がりしたとしても、日経ダブルインバースは反対に値上がりすることになりますので損失をある程度抑えることができます。
ただし、日経平均株価が値上がりしそれに伴いあなたが購入した銘柄が値上がりしても、日経ダブルインバースは値下がりしますので、結果的に利益も少なくなるという欠点もあります。
また最悪なのは日経平均株価が値上がりしているのにあなたが購入している銘柄が値下がりした場合には、日経ダブルインバースは値下がりしますので両銘柄とも下降するという最悪なパターンになります。
他にも欠点がありますので、完全におすすめできる対策方法ではないのですが、これが大きな力を発揮するのは日経平均株価が大きく値下がりしそうなタイミングであなたが多くの 株を保有している時です。
このような場合には、値下がりした時に日経ダブルインバースを保有していればその損失分を多少カバーすることができます。
これも一つのリスク分散です。
日経ダブルインバースについては先ほど言った欠点以外にも減価がありますので、短期的な急落に対するリスク回避のためのETFだという認識が必要であり、購入する場合にはよく理解した上で買ってください。
短期での取引に適したETFであるということと、減価しますので相場状況を見たうえで損切りは徹底すべきです。
私がこれまで保有していた期間は数日から1週間ぐらいとかであり、もう少し長かったとしても1ヶ月以上になるような保有はしていません。
リスク回避のために保有していた日経ダブルインバースが、結局大きなリスクをもたらしてしまったということがないように、できるだけ短い保有期間にするのがおすすめです。
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取引回数を減らし大幅下落時を狙う
株取引のリスクを抑えた方法を取るのであれば取引回数を減らすというのも一つの手です。
これは手数料が減るという意味でも多少損失を減らすことはできるのですが、そういうことよりも日経平均株価や東証株価指数(TOPIX)の動きをよく見た上で年に数回はある割と大きく下落したポイントを「買うタイミング」とするという方法です。
株は上昇下降を繰り返しますので、下がった段階で購入すればその後に上がる可能性も高くなりますし、もしさらに下落したとしてもその損失は高い価格で買ったときよりもかなり少なくすることができます。
下のチャートは2018年1月から2018年7月までの日経平均株価のチャートです。
赤丸で示しているところは他の期間と比べて大きく値下がりしていることがわかります。
このようなところで株を購入すればかなりの確率で利益を上げることは可能です。
チャートをよく注目して勉強するとともに、相場状況をよく見ることで、そろそろ底値かなというポイントがなんとなくわかってくるようになります。
もしこのようなポイントでうまく買えた場合、長く保有することはしないで、売るタイミングは割と短期で考えていた方がいいです。
チャート見てもらうと分かるとおりある程度上がったら再度下落しますので、これらの上昇というのは本格的なトレンド転換で上昇トレンドになったということではなく、下がりすぎた株価の一時的な調整で上げているという場合もあるので、自分の中でどれぐらい株価が上昇したら利益確定売りをするというルールを決めておくことが大切です。
このように売買回数を減らして大きく下がったところを狙い目にするというのも一つの手法です。
しかしながら大きく下落したポイントで買うにしても、本当にその株価が当面の底値であるかわからないため、できるだけリスクを分散させるということであれば、先ほども言いましたが複数回に分けて分割して買うという方法がいいのかもしれません。
まずは打診買いが重要です。
結果論としては、最初に買おうと思っていたポイントが底値だったとしても、リスクを抑えるために分散させたのだと納得することもできると思います。
リスクの捉え方は個人によって違い、100万円の資金で投資している人にとっては10万円の損失は大きいのですが、1000万円の資金で投資している人にとっては10万円の損失はそれほど大きいものではないでしょう。
同じ金額の損失でも、それをリスクと考えるかどうかは人それぞれということです。
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そもそも株式投資は生活費などの命金を使わずに余裕資金で運用するのが鉄則です。
最悪の場合は0円になっても構わないというぐらいの考えでいなければ利益が出ているか、損失が出ているかとか株価があまりにも気になりすぎて、仕事も手につかず精神的にも負担がかかってくることになります。
だからこそあなたが、このお金は最悪無くなっても構わないという金額で取引すれば、リスクの考え方も変わってくると思います。
しかしながら、個人投資家であればそんな簡単にこのお金は無くなってもいいと思って取引できるほど多くの資金はないわけですので、投資経験を積む中で基礎知識を学び、最悪の場合の心構えは持ちながらも、自分自身に最も合う「リスクをできるだけ減らす方法」を見つけてみてはいかがでしょうか。
それでは本日のまとめです
本日のまとめ
- 株式投資にリスクはつきものである
- 投資でリスクなしに利益を得るのは不可能である
- リスクを大きくとるほどハイリスクハイリターンになる
- 複数銘柄に分散投資する
- 時間分散をする
- 日経ダブルインバースで急落に備える
- 日経ダブルインバースは短期保有がおすすめで損切を徹底する
- 取引回数を減らし大幅下落時に購入する