寄り付き前(始値前)の気配値はごちゃごちゃしている
今日は、私が初心者の頃に知りたいと思っていたことについて書きたいと思います。
寄り付き前(始値前)の気配値は、指値買い・指値売りや成り行き買い・成り行き売りがごちゃごちゃしていて見方もよくわからず、一体いくらが寄り付き価格、つまり始値になるのだろうと思っていました。
今回この記事を書こうと思ったのは、当時の私と同じように寄り付き前の気配値から、いくらの株価で始まるのかを知りたいと思っている投資家もいるんじゃないのかなと思ったので書いてみることにしました。
全然経験のない頃でしたので、計算のやり方もかなり難しいんだろうなと思っていましたが、実はそうでもありませんでした。
計算方法自体は非常に簡単で、名称は板寄せ方式というものですが、小学生でもわかる足し算と引き算だけです。
寄り付き前でも特に9時直前になると注文が多く非常にごちゃごちゃしているので難しそうに感じますけどね・・・
本日は、寄り付き前の気配から板寄せ方式で始値を計算する方法についてをテーマに話をしたいと思います。
板寄せ方式のタイミングは寄り付き・前引け・後場寄り・大引け
最初に、この板寄せ方式が実施されるタイミングを説明したいと思います。
といっても、それほど多くはなく寄付と引けだけですので、「寄付きと前引け(前場の引け)、後場寄りと大引け(後場の引け)」ということになります。
さて、計算方法自体は足し算と引き算だけだということを言いました。
確かに計算自体は簡単なのですが、実は寄り付き前の気配値によってやり方がちょっと違うことがあります。
今回の記事では基本になるパターンで説明したいと思います。
なぜかと言うと、寄り付き前の気配の多くがこの基本になるパターンで始値を計算できるからであり、また逆に言うならば特殊なパターンを学んでいてもそれに出会う可能性は極めて低いものもパターンによってはあるからです。
せっかくですので、どのようなパターンがあまり出会う可能性がないのかと言うと、例をあげると寄り付き前の時点で指値売り・指値買いの 注文が一切入っておらず、成り行き売りと成り行き買いしか注文がないような場合です。
この場合はいくらでもいいから買いたいという成り行き買いと、いくらでもいいから売りたいという成り行き売りの注文を出している投資家いるわけですが、値段を指定して、いくらであれば売りたい、または買いたいという指値売り・指値買いを注文している投資家がいないため約定しないことになります。
他にも、売りまたは買いの一方にしか指値注文がないパターンとかもあるのですが、今まで一度もこれらのようなパターンを見たことがないのでそのやり方を知っていても、まぁ~あんまり意味がないんじゃないかなということで、基本的なパターンだけ説明したいと思います。
板寄せ方式の計算のやり方
それでは実際に計算のやり方を見ていただきたいと思います。
寄り付き前の気配値が下の表のような板状況だったとします。
さてみなさん、値段が996円から1003円まで並んでいますが、一体何円が始値になると思いますか。
板寄せ方式で計算するためには、まず最初にたぶんこれぐらいの価格が始値になるんじゃないのかという株価を決めなければいけません。
これぐらいの価格なんじゃないのというのは人によって違いますよね。
1000円かなと思う人もいるかもしれませんし、999円なんじゃないのという人もいると思います。
もしかするとちょっとひねった問題で、1002円とかなんじゃないのと思う人もいるかもしれませんし、まさかの996円かと思う人もいるかもしれませんね。
とりあえず仮に決めた金額ですので、考え方は色々あると思います。
しかしながら、始値の値段というのは実は2つに絞ることができます。
どうやって絞るのかというのが最初のポイントです。
表を見てもらうとわかるとおり、左端に売り累計・右端に買い累計がありますよね。
全ての証券会社の板を見たわけではありませんが、基本的に売り累計と買い累計は板情報に出ていると思います。
数字を見ていただくと、売り累計は値段の安値から高値に向けて累計数量が増えていっていますよね。
反対に買い累計は、値段の高値から安値に向けて累計数量が増えていっていますよね。
注目してもらいたいのは1000円と999円の累計です。
値段の安い方から見ていくと、996円の累計数料は売り累計1200株に対して買い累計3300株と、買いの方が多いですよね。
997円も998円も999円も買い累計の方が多いですね。
しかしながら、1000円の累計を見てもらうと売り累計2200株に対して、買い累計1800株ですので、売り類系の方が多くなりました。
1001円から1003円も売り累計の方が多いです。
つまり、999円と1000円を境にして買い累計が多いか売り累計が多いかが変わったということです。
このことから、寄り付き前の板の状況がこのままで9時を迎えれば、始値は999円か1000円のどちらかになるということであり、これらの価格で売り買いがせめぎ合っているということです。
もうこの時点で2択にまで絞れました
・・・とはいうものの、この2択に絞る作業までは多くの証券会社で自動的にされていると思います。
これらの価格だけ色が変わっていたりするなど、何かしらわかるようにしている証券会社がほとんどなのではないでしょうか。
あなたが使っている証券会社でも確認してみてください。
さて、2択にまで絞ることは出来ましたので、次はどちらが始値なのかというのを考えてみたいと思います。
ここで、999円を始値だと仮定します。
これから計算をしていくわけですが、始値と仮定した金額で計算を続けて、条件的に問題がなければその値段が始値の株価ということになります。
計算の手順としては、まず最初に成り行き売りと成り行き買いを計算します。
成行売り数量が1000株、成行買数量が500株ですので差引、成行売り数量が500株余ります。
単純な引き算ですので間違えることはないと思いますが一応計算式を書くと1000-500=500です。
次に999円を始値だと仮定しましたので、成り行き売りで余った500株と999円未満の安い値段の指値売り数量の合計株数を計算します。
つまり、996円が200株・997円が200株・998円が100株と成行売りで余った500株を合計して、200+200+100+500=1000株ということになります。
次に999円を超える指値買い数量の株数を計算します。
1003円が200株・1002円が300株・1001円が500株・1000円が300株、成り行き買数量はすでに成り行き売り数量と差し引きしていますので0ですね。
つまり、200+300+500+300=1300株になります。
売りの株数が1000株、買いの株数が1300株ですので、差し引きすると買いが300株残りますね。
この時点で、売りの998円の100株・997円の200株・996円の200株はもうありませんので、売りの安値は999円の400株になります。
次は先ほど残った買いの300株を、999円の売りの400株と計算します。
そうすると400-300=100で、999円の売りが100株残ることになります。
次が最後の計算です。
999円の売りが100株に対して、999円の買いが500株ありますので、500-100=400ということになります。
よって、最終的に始値は999円からスタートすることになり、その時999円の買い数量は400株になっているということです。
以上で一通りの説明は終わりになりますが、特に難しいということはないのではないでしょうか。
単純に足し算と引き算だけですので、慣れれば簡単に計算できると思います。
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板寄せ方法は基礎知識として知る程度でよい
板寄せ方式で始値を決めるわけですが、その答えは当然一つにならなければなりません。
今の例でいうと、始値は999円でしたが、「実は始値は1000円でも良かったんだよ」ということではダメですよね。
それでは2択に絞ったもう一つの金額である1000円を始値にした場合に、なぜおかしいのかについても話をしたいと思います。
まず最初は、成り行き同士の計算ですね。
この答えは全く同じで、成行売りが500株残ります。
1000円を始値だと仮定しましたので、この500株と1000円未満の指値売り数量の999円が400株・998円が100株・997円で200株・996円が200株を合計して1400株になります。
次に買い数量の合計は成り行きは既にありませんので、指値買数量だけを計算し、1003円が200株・1002円が300株・1001円が500株で合計1000株になります。
売り数量が1400株に対して、買い数量が1000株になりますので、売り数量が400株残ります。
1000円の買い数量300株と計算すると、999円の売り数量が100株残りますね。
さてそうなると、おかしなことが起こりますね。
始値が1000円だとすると、1000円より安い売り注文である999円が100株残ってしまうということになります。
もちろん反対に始値より高い買い注文が残っていてもダメです。
ということで、始値は先ほど計算したとおりの999円ということになります。
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さて、以上で寄り付き前の板寄せ方式での始値の計算方法の説明は終わりますが、この基礎知識は知っていて無駄ということはありませんが、これを知っていたからといって、すごく儲かるのかというと、私の意見としてはすごく儲かることはないと思います。
なぜなら注文の多い銘柄などは、9時直前ギリギリで機械的に注文を入れてくる場合もありますので、仮にこの計算が9時直前までできていたとしても、最後の最後で新たな注文が入って計算結果が全然合わなくなることはあります。
まぁ~これは基礎知識として知っておくぐらいでいいのではないでしょうか。
寄り付き前の注文があまりないぐらいの気配であれば、自分の計算が合っているのか練習することはできるかもしれませんね。