損切りは3つのパターンに分けられる
株取引をしていると保有している株価が値下がりすることは当然ありますよね。
その時に、その銘柄を損切りするのかどうかというのは、投資家の考え方によって違いが出るのですが、あまりにも損切りが多くなりすぎるとトータルで利益を出すことも難しくなりますし、場合によっては株取引の世界から退場しなければならなくなることもあります。
なぜ損切りをしなければならないのかというと、これは簡単なことで買い方側であれば、購入した価格よりも現在の価格が値下がりしているからですよね。
損切りしてしまう理由は、大きく分けると3つのパターンになると私は考えています。
本日は、なぜ損切りすることになってしまうのかを3つのパターンに分けて考えてみたいと思います。
高値づかみは損切りになりやすい
まず1つ目は、高値づかみであるということです。
株取引で利益を出す上での絶対的な鉄則は、株の高値掴みはしてはいけないということです。
これは損しやすい投資家の典型的な行動なのですが、株価が大きく上昇している銘柄があると、乗り遅れてはいけないと上値を追うように購入してしまうことがあります。
一般的にイナゴと呼ばれる投資家が集まってくると、イナゴタワーと呼ばれる株価が急激に上がる状態になり、高騰後は反対に急落状態を作ってしまうことになります。
一旦株価が値下がりすると売りが売りを呼び急落することが多く、上昇前の株価よりも値下がりしてしまう場合もあります。
まず、短期間での上昇下降の例を見ていただきたいと思います。
2018年8月から9月のイワブチのチャートです。
株価は5500円前後で推移して いましたが、 9月になると値段が一気に上昇し始めます。
5500円程度で買えていた株が、9月6日には8000円を超える値段になりました。
チャートを見てもらうとわかるとおり、この間わずか数日です。
そして、9月6日に高値8080円をつけた後、急激に値下がりし数日で何事もなかったかのように上昇し始める前の5500円に近い金額になりました。
大きく急上昇した株価が一旦値を崩してしまうと、利益確定売りと損切りでこのようなチャートになってしまうのはよくあることです。
高値づかみをしてしまうと損切りしなければならない状況になるかもしれませんし、場合によっては塩漬けになってしまうかもしれません。
急激に株価が上昇した場合には、俗にいう「ババ抜き」になってしまい、誰かが大損を被ってしまうことになり、それは個人投資家である可能性が極めて高くなります。
このイワブチの例は、短期間での上昇下降の例でしたが、高値づかみはこのような短期間だけではありません。
つまり、数ヶ月以上の少し長い期間にわたって右肩上がりの上昇トレンドを継続していて、ある日から株価が大きく値下がりし始めるということもあります。
これも高値圏で購入していた投資家は高値掴みになってしまい、損切りか塩漬けになる可能性が高くなります。
下のチャートは、2017年1月から2018年9月の中村超硬のチャートです。
2017年1月から株価が上昇し始め、2017年12月中旬には高値7820円をつけます。
この間、1年弱ですが、株価は6倍以上に上昇しており急激な上昇だったことがわかります。
12月中旬にピークをつけた後、株価は値下がりし始め、約8ヶ月後の2018年8月の安値は2017年1月の始値とあまり変わらない値段をつけます。
つまり、この1年8ヶ月間で全戻しした状態です。
この銘柄も高値づかみをして逃げ遅れた場合には、損切りか塩漬けになったのではないでしょうか。
そもそも急激に上昇した銘柄というのは、本来あるべき価格以上に株価が上昇し、移動平均線からも大きく乖離することがあるため、大きく値が崩れ出すとなかなか下げ止まりません。
株価が上昇する初動や、ある程度の段階で購入することができれば、もし急落した場合でも、それなりの含み益(評価益)があるため、利益確定売りの時間的なゆとりもあるのですが、あまりにも上がり過ぎてから最高値付近で買うと、急落した場合そのような時間すらありません。
逃げられるタイミングがあるかどうかは非常に重要です。
上昇トレンドの購入は、株価が青天井になる可能性もあるのですが、購入者が殺到すると株価が急上昇することになり、それは暴落の危険性もあるということです。
だからこそ高値づかみは損切りの可能性が急激に高まるので絶対にしないようにしましょう。
どこが高値づかみだったのかは結果論でしかわからない面もありますので、テクニカル的に買われすぎだったり、売りの兆候がでてきたら利益確定売りをするか判断しなければなりません。
保有する力が弱いと損切りしやすい
2つ目は、その銘柄を「ホールドする力」、つまり握力です。
基本的に、どんな銘柄であっても購入した値段から一度も含み損になることなく上がり続けるということはあまりないと考えていた方がいいと思います。
例えば、購入価格が500円だとして瞬間的に値下がりして497円や495円になったり、逆に値上がりして502円になったり505円になったりします。
細かく上昇下降を繰り返しながら、大きな方向性として値上がりしていくのか、値下がりしていくのかという動きになりますので、短期的に少し株価が下がったからといって損切りしていては、利益を得るのは難しいです。
みなさんは何パーセント下落したら損切りしているでしょうか。
例えば、2%や3%値下がりしたからといって損切りしていたら、私としてはほとんどの銘柄を損切りしないといけないんじゃないかなと思ってしまいます。
3%値下がりして損切りする場合、500円で購入していれば15円値下がりした485円です。
これぐらいの値下がりは当たり前のようにありますし、地合い(相場状況)が悪ければ3%ぐらいあっという間に値下がりします。
もしこれまで割と早い段階で損切りしていたのであれば、これまで損切りした銘柄がその後どうなったかを見てみると良いのではないでしょうか。
もしあなたが損切りした後、その銘柄が上昇を続けているのであれば損切りのタイミングが悪かった可能性があります。
もちろん大きく株価が下落して損切りした後に、大きく上昇している場合にはホルダーが入れ替わって、含み損がほとんどない状態で上値を目指しているという風に考えることが出来るのですが、数パーセントの値下がり後に上昇しているのであれば、売るべきではなかったと考えることもできます。
実は私も初心者のころ購入していた銘柄が数パーセント下落したので、もっと大きく値下がりするかもしれないと思って損切りしたのですが、実際にはその後、長期間をかけて大きく上昇し、もし保有していれば10万円ぐらいの含み益になっていたと思います。
少し下落しただけで不安になってしまい損切りした方が良いのではないかと思うのは初心者の方に多い考えなのですが、もちろん損切りは大事であるものの、同じようにホールドする力である握力も大事です。
特に、その銘柄の決算内容や株主総会などに自信があるのであれば、なおさらしっかりと握力を持って短期的な株価に左右されないようにするべきです。
これ以上下がったら損切りしなければならないという自分の中でのルールを持ちながら、ここまでは値下がりしても売らないという強い気持ちも持っていないと損切りは減らないと思います。
購入した株は一時的であれマイナスになると思っていれば、少しは気も楽に取引することができると思います。
ぜひ握力も鍛えるようにしてみてはいかがでしょうか。
まずはこれまで損切りした銘柄がその後どうなったのかを確認してみるといいと思います。
もしあなたが損切りした後に多くの銘柄が上昇しているのであれば、損切りのタイミングについてもう一度検討すべきではないでしょうか。
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あなたの株取引にとって役に立つかもしれない投資方法や取引の知識を書いていますので、気になる方はこちらの投資方法からご覧ください。
株を一度に買いすぎると損切りしやすくなる
3つ目は一度に株を買いすぎるということです。
高値づかみでないにも関わらず損切りする人に多いパターンなのですが、一度に多くの単元数を買いすぎてしまうと儲かる時も、損する時も大きくなってしまいます。
つまり、成功と失敗のどちらになっても極めて大きな結果を招くことになります。
これは自分でハイリスクハイリターンの状況を作り出しているのと同じです。
もし1000円の株(1単元:売買単位100株)を購入して、30円値下がりすれば3%値下がりしたことになり、実際の金額としては3千円の含み損になりますが、もしこれを10単元購入していれば、3%値下がりしたすると3万円の含み損になってしまいます。
投資家の資金量に関係するところですので一概には言えないのですが、数万円単位の含み損になると耐えきれなくなってしまう人も多いのではないでしょうか。
この例の場合でも、ここから上昇トレンドになってくれればいいのですが、もし5%下がれば5万円の含み損、8%下がれば8万円の含み損になってしまいますのでなかなか厳しい状況だと言えるのではないでしょうか。
このような状況になると不安感が強くなって、その銘柄を保有しておくことが困難になり、結局損切りしやすくなります。
株価にもよりますが、資金量が豊富な投資家が10単元1000株購入するのは特に問題ないのかもしれませんが、それほど多くの資金がない投資家であれば最初から複数単元購入してしまうのはリスクが高くなる場合があるといえるかもしれません。
購入する段階では、これ以上株価が下がることはないだろうと思って買う人がほとんどだと思います。
しかしながら受給関係がある株式投資ですので、購入した後に想定外の値下がりをすることもよくあります。
高値掴みをしていなくても購入する株数によっては、その下落による負担が何倍にもなってしまうことがあります。
株式投資で勝つためにはハイリスクな投資をしないことが大切だと思います。
そのぶんハイリターンは得られなくなってしまうのですが、大きな損失を被ってしまうと元の資金量に戻すのだけでも相当な時間が必要になります。
リスクを減らすことが株取引で勝つ必勝法といえるのではないでしょうか。
その銘柄で複数株を買いたいのであれば、安い価格帯でしっかりと押し目買いすることや、直近高値をブレイクした価格を狙い目にする方が安全に株数を増やすことができるのではないでしょうか。
なお、買い増しのタイミングについて知りたい方は株の買い増しはタイミング次第!データで見る失敗しにくいやり方とはをご覧ください。
また、押し目の値段が過去の経験上いくらぐらいになるのか知りたい方は上昇トレンドの押し目価格を想定するために計算方法の基礎知識を学ぶをご覧ください。
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株取引で利益がなかなか増えない投資家に共通していることは、損切りが多すぎるということです。
損切りしなければならない場合は機械的に損切りしなければなりませんが、一般的に言って損切りする必要がないようなところで損切りしているのでは、いつまでたっても利益は増えません。
まずは損切りになる可能性が高い高値づかみでは株を買わないこと、最初から複数単元を購入して自分自身でハイリスクハイリターンの状況を作り出さないこと、自分の損切りラインに到達するまでは多少の下げがあったとしても不安にならずに、しっかりと握力を強く保有しておくことが大切です。
この3つのポイントを損切りしないための基礎知識として知っておけば、損切りの回数も減ることにつながり、取引の成績も改善しやすいのではないでしょうか。
それでは本日のまとめです。
本日のまとめ
- 損切りが多くなるとトータルで利益を出すことが難しい状況になる
- 損切りは大きく分けると3つのパターンになる
- 高値づかみは損切になりやすい
- 急上昇した株価は一旦大きく値下がりするとなかなか下げ止まらない
- 急上昇した株は暴落の危険性もある
- 保有する力が弱いと損切りしやすい
- これまで損切りした銘柄がその後どうなったのか確認してみる
- 一度に株を買いすぎると損切りしやすくなる
- 一度に多くの株を購入するとハイリスクハイリターンになる
- 不安感が強くなると、株をホールドする力が弱くなる
- ハイリスクな投資をしないことが大切
- 必要な場合は機械的に損切りしなければならない
- 損切りの回数が減ると取引の成績も改善しやすい