銘柄によって癖がある
みなさんは銘柄ごとに癖があるということをご存知でしょうか。
この癖は全ての銘柄にあるというわけではありませんが、癖が強い銘柄になるとそれを知っているだけで非常に取引がしやすくなることがあります。
今回の記事は、中長期保有で投資する投資家にも、もちろん知っておいてもらいたいのですが、一番知っていただきたい投資家はデイトレードやスイングトレードなどの短期投資で取引している人です。
くせには色々な種類があるのですが、その中で今回は陽線・陰線・十字線に関する内容です。
みなさんご存知だとは思いますが、念のため簡単に陽線・陰線・十字線についての説明をしておきたいと思います。
まず陽線ですが、これは始値より終値の方が価格が高いことをいいます。
陰線は始値より終値の方が価格が低いことをいいます。
十字線は始値と終値の価格が同じこと(ほぼ同値を含める場合もあるようです)をいいます。
説明はこれぐらいにして、早速本題に入りたいと思います。
本日は、陽線・陰線・十字線に関する銘柄の癖についてをテーマに話をしたいと思います。
陽線・陰線・十字線による癖
みなさん株取引をする時に、その銘柄の前日のチャートのローソク足が陽線か陰線か十字線かというの意識したことがあるでしょうか。
実は銘柄によって、陽線に強い銘柄もあれば、陰線に強い銘柄、十字線に強い銘柄というのがあります。
強いというと、なんだかちょっとわかりにくいかもしれませんが、今回の記事は、買い方側を基準に考えていますので、簡単にいうとプラスになったり、他のローソク足よりもマイナスの幅が小さかったりするということです。
実際見てもらうのが一番わかりやすいと思いますので、下の表をご覧ください。
この表はAからJまで11銘柄の過去3年間を集計したものです。
なお、2018年が残り2ヶ月半ほどあることから、この3年間は1月~12月ではなく、任意の期間で集計しています。、
パターンは3つあって、前日が陽線・陰線・十字線のどれであったかによって場合わけをしています。
各パターンごとに全て寄付成行で買う、つまり始値で買い、引け成行で売る、つまり終値で売ると、どのような取引成績になったのかというのを集計したものです。
なお、AからJ銘柄ということで、あえて名称を書いていないのは、このやり方だけで取引をしてしまうのはリスクがあるので、あえて名称を書いていません。
今回の記事は、あくまでもこのような側面もあるということを知ってもらうために書いているものであり、間違っても「ある銘柄」が始値で買って終値で売ったときに成功しやすいからといって、それだけで取引をするのはあまりおすすめできません。
あなたが取引しようと思う銘柄が、陽線・陰線・十字線のどれに強いのか基礎知識として知ったうえで、あなたがこれまでしてきたとおりに、買うタイミングと売るタイミングは慎重に判断したほうがより良い成績をめざせると思います。
今回の記事は、いつもの取引に少しメリットをプラスできればいいなぁ~という感じで書いています。
そもそも、この11銘柄の選び方は、基本的には意図的に選んだものではありません。
はっきり言って、適当に選んだ銘柄ですが、一点だけ意図的に選んでいるのは、十字線も含めた内容にしたかったため、年間にそれなりの回数の十字線があるような銘柄を選んでいます。
ある程度値段が高い銘柄になると、十字線というのはそれほど出てこなくなりますよね。
例えば、株価が2000円の銘柄があったとして、その銘柄が始値と終値が同じ価格になるというのは、年間でもそれほど多くの回数がないというのがわかるのではないでしょうか。
もちろん、十字線をほぼ同値まで含めると考えるのであれば、回数も増えてくるとは思いますが、ほぼ同値とはどれぐらいまでかという問題が出てきますので、今回の記事では十字線は始値と終値の価格が同じとしています。
値幅が大きくなればなるほど、十字線になる可能性は少なくなってきますので、今回は陽線・陰線・十字線の3パターンを出したかったため、あえて十字線がそれなりの回数出てくるような価格帯の銘柄にしています。
意図的に選んだ銘柄ではないため、この11銘柄の中に癖が出ている銘柄もあれば、全く癖が出ていない銘柄もあります。
まぁ~これがリアルな株の結果ということなのではないでしょうか。
陽線・陰線・十字線のクセの具体的な見方
この11銘柄の中で、一番癖が出ていると私が思うのはD銘柄です。
表を見てもらうとわかるとおり、D銘柄は2018年も2017年も2016年も、陽線・陰線・十字線の3パターンでいうと、十字線で終わった場合が翌日の成績が最も良いということがわかります。
表の見方としては、例えば2018年のD 銘柄の十字線は 「5」になっていますので、ローソク足が十字線になった翌日に寄り付き成り行きで買い、引け成り行きで売ると1年間で、5ティックプラス(利益)になっているということです。
同じように、2017年では14ティックプラス、2016年では1ティックプラスになっているということです。
これだけ見ると大して儲からないじゃないかと思うかもしれませんが、結果が何ティックプラスになっているという数字に注目するのはあまり良くありません。
そもそも始値で買って終値で売るだけであり、難しい戦略も必要ないやり方でプラスになっているので、そっちの方がびっくりといえばびっくりですけど・・・
実際にはもっと良いポイントで売買するでしょうから、この数字は一切何も考えない投資をした場合といえるのではないでしょうか。
最も注目すべきことは、陽線・陰線・十字線によって同じ寄付成行買い、引け成行売りでもプラスになることもあればマイナスになることもある、 また同じプラスやマイナスだったとしても、その値幅が違うということです。
D 銘柄でいうと 3年間のトータルでは、十字線の場合はプラス20ティックであり、陽線の場合はマイナス31ティックであるということです。
つまり、十字線の次の日に取引をする方が、陽線の次の日に取引をするよりも良い結果につながる可能性が高いということが言えるのではないでしょうか。
十字線の時はプラスなのに、陽線の時にはマイナスになるという結果ですので、その差は非常に大きいです。
また、B 銘柄もかなりクセを持った銘柄であると考えられます。
この銘柄も十字線の翌日は3年間で60ティックのプラスですが、陽線の翌日はマイナス150ティック、陰線の翌日はマイナス114ティック という結果ですので、この銘柄は十字線の翌日以外に 始値で買って終値で売ると圧倒的に損する可能性が高いということが言えます。
つまり、この銘柄も十字線の翌日に売り買いする方が利益を得られる可能性があると考えられるのではないでしょうか。
過去の結果としては、この銘柄の十字線の場合だと、他のローソク足のパターンよりプラスになりやすい可能性がありますので、適切な売り時・買い時を判断できればそれだけさらに儲かる可能性が高くなると言えるのではないでしょうか。
なぜ、「可能性」なのかというと、異常値も入っている(後ほど説明)ことが考えられるからということと、あくまでも過去の結果であり、どのような銘柄でも、未来がこれまでと同じようになるとは限らないからです。
金額だけではなく回数も重要
なお、もう1つ注意しておかなければならないポイントがあります。
それは翌日の陽線・陰線・十字線の回数です。
例えば、陽線の翌日の3年間の合計がプラスだったからといって、必ずしも陽線が多いとは限らないということです。
陽線の翌日の合計がプラス10ティックだったとしても、9回がそれぞれマイナス5ティック(合計マイナス45ティック)で、1回だけ大きな陽線でプラス55ティックであったとすると、結果としてはプラス10ティックなのですが、1勝9敗という成績で勝率1割しかないことになります。
株は勝率を競うわけではないので、勝率が低くても利益を出すことはもちろんできます。
陽線の翌日に、この銘柄をいつも売買していれば問題ないのですが、時々しか投資しない場合、この55ティックの日に取引していなければ、残り9回はマイナスになる可能性が高いわけです。
だからこそ、合計収支がどうなっているのかももちろん大切なのですが、各パターンの翌日に陽線・陰線・十字線がそれぞれ何回出ているのかも知っておく必要があります。
参考までにB銘柄の回数を表にしましたのでご覧ください。
2018年の陰線の翌日は陰線が39回、陽線が28回、十字線が24回発生したというように見ます。
陰線が陽線より11回多かったことがわかりますね。
B銘柄の2018年の陰線は、金額的に見てもマイナス12ティックなので、陰線が多かったのでマイナスになったと考えることができます。
2018年の十字線の翌日は、陰線が23回、陽線が22回、十字線が33回であり、陰線が陽線より1回多いだけでした。
B銘柄の2018年の十字線は、プラス4ティックなので陽線の回数は陰線より少なかったものの、金額的には上回ったことがわかります。
また、2016年の陰線の翌日に陰線になった回数は70回あり、陽線になった回数は47回しかなく、大きな差があります。
金額的にもマイナス34ティックという結果でした。
3年間をまとめてみると、B銘柄で陰線の翌日に陰線になった回数が166回、陽線になった回数が113回、十字線になった回数が59回であり、陰線が陽線より53回多いという結果でした。
B銘柄で十字線の翌日に陰線になった回数が59回、陽線になった回数が53回、十字線になった回数が47回であり、陰線が陽線より6回多いという結果でした。
みなさんだったら、B銘柄の場合、陰線の翌日に購入するでしょうか、それとも十字線の翌日に購入するでしょうか。
今回のデータは意図的に選んでいないため、どちらも陰線が陽線を上回るという結果になってしまいましたが、いろいろな銘柄を検証すると陽線が陰線を上回る銘柄も当然出てきます。
このB銘柄でいえば、買い方側で考えると、陰線を付けた翌日に含み益をめざすのよりも、十字線を付けた翌日に含み益をめざすほうが楽そうに感じますね。
陰線の回数が少ないタイミングで買うだけで投資成績はけっこう変わってくるのではないでしょうか。
回数を考慮せず金額だけで判断すると、ストップ高やストップ安だったり、それに近い価格だった場合など、陰線が多いにも関わらずプラスになったり、陽線が多いにも関わらずマイナスになったりしますので、必ず金額と回数と両方確認するようにしましょう。
他の値段と比べてあまりにも違いが大きい場合には異常値として計算に入れないというやり方をする投資家もいます。
この辺りは投資家それぞれの判断ですね。
次にK銘柄をご覧ください。
先ほどの2つの銘柄と違い金額だけで見ると、この銘柄は陰線になった翌日にプラスになる傾向があります。
ただし、すごくわかりやすい傾向があるともいえないぐらいの成績なので、この11銘柄の中であえて選ぶとすればというぐらいのレベルでしょうか・・・
プラスになっているものの陽線の回数が本当に多かったのか確認する必要があります。
繰り返しになりますが、金額だけだと異常値が入っている可能性もありますので、必ず回数も確認するようにしましょう。
陰線の翌日に購入した方が良い、もっとわかりやすい銘柄を意図的に表の中に入れればよかったのかもしれませんが、意図的に選んでいないので参考になる銘柄はありませんでした。
それでは、陽線に強い銘柄どれでしょうか。
金額だけで見ると、 F 銘柄が1番陽線に強そうですね。
しかしながら、私はこの銘柄が陽線に強いとは思いません。
確かに陽性の場合が、プラス7ティック、陰線がマイナス1ティック、十字線がマイナス42ティックであることから陽線の成績がいいのですが、各年ごとに見るとちょっと違った結果が見えます。
2018年の陽線の翌日はプラス4ティック、2016年の陽線の翌日はプラス37 ティックなのですが、2017年の陽線の翌日はマイナス34ティックになっており、2017年だけの成績でいうと、陽線の翌日に買うやり方が最も悪い結果になっています。
3年間のトータルの成績としては、プラス7ティックになっているものの、結果が安定していないため、陽線の翌日に買うのがいいとまではいえないと言えるのではないでしょうか。
バックテストの期間
今回の記事では、3年間のトータルを取っています。
この3年間のトータルを取るというやり方がいいのかどうかは、投資家それぞれの判断によると思います。
なぜかというと、そもそも3年間でいいのかという問題があります。
もっと長い方がいいんじゃないのと思う人もいるかもしれませんし、数年前の結果なんか意味がないんじゃないのと思う投資家もいると思います。
つまり、バックテストとしてどこまでの期間を採用するのかということです。
これに正解はありません。
あなた自身が最も良いと思う期間を設定すればいいのではないでしょうか。
今年の取引だから、今年の結果だけで良いというのも正解ですし、やっぱり長い期間見た方が癖もわかりやすいんじゃないのというのも正解だと思います。
参考までに3年間で考えたとすると、B 銘柄を陰線の翌日に始値で購入し、終値で売却するとすべての年でマイナスになっています。
また、 C 銘柄とE銘柄を陽線の翌日に始値で購入し、終値で売却するとすべての年でマイナスになっています。
もし、ある程度の期間を見て癖を考えるという人で、短期投資をするのであれば、陰線の翌日に B 銘柄を購入するということや、陽線の翌日に C 銘柄とE銘柄を購入するのはやめたほうがいいという考えに至るかもしれません。
この表の中に他にも癖のある銘柄があります。
この表を見てもわかるとおり陽線・陰線・十字線で結果には大きな違いが出るので、どのパターンで買うかによってあなたの取引成績にも影響が出てくる可能性はあります。
なお、株価によっては十字線がほとんどない状況になる銘柄があります。
例えば、年間数回しかないのであれば数が少なすぎて、癖があるのかどうかの判断が難しいので、実質的に陽線か陰線の2択になります。
そうなると、クセがある銘柄であれば、陽線か陰線のどちらかが大きくプラス、どちらかが大きくマイナスとかになったりします。
また、陽線や陰線も値上がり率、値下がり率の割合ごとにわけてもおもしろいのではないでしょうか。
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負ける可能性が高いときに取引しない
もし、このやり方に興味があるのであれば、まずはあなたが気になる銘柄の過去の結果を集計してみるのがおすすめです。
陽線・陰線・十字線の翌日に始値で買って終値で売るとどのような結果になっていますか。
陽線の翌日にプラスになる傾向があるのであれば、陰線の翌日に買うよりも陽線の翌日に買う方が利益を得られる可能性は少しは上がるのではないでしょうか。
陰線の方が結果がよければ、陰線の翌日にということですね。
なお、単純に寄付成行(始値)で買って、引け成行(終値)で売るというような取引はしないほうがいいです。
先ほどの表の銘柄でいうと、B銘柄がプラス60ティックでもっとも大きいのですが、取引回数で考えると証券会社によっても違いますが、手数料無料でない限り手数料負けします。
始値で買って終値で売ったらどうなるのかを見るのは、あくまでも陽線・陰線・十字線の、どの翌日に買うのがいいのかを確認するための方法ですので、実際にそれで売り買いするのはおすすめできません。
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過去の結果から取引成績がよくないタイミングがわかったのであれば、わざわざ悪いタイミングで投資するのはもったいないですからね。
株取引は利益を出すことはもちろん大切ですが、大損をなくし損失を減らすことも極めて重要なことです。
そうすればそのぶん利益が増えることになりますので、負ける可能性が高いときに取引をしないのも儲かるためのコツでありテクニックの1つです。
それでは本日のまとめです。
本日のまとめ
- 癖がある銘柄もある
- 陽線に強い銘柄、陰線に強い銘柄、十字線に強い銘柄がある
- ローソク足のパターンで翌日がプラスになりやすかったり、マイナスになりやすかったりする
- 金額だけではなく回数も重要
- 株は勝率を競うわけではない
- バックテストとしてどこまでの期間を設定するかは投資家次第である
- 株価によっては十字線はほとんどない
- わざわざ悪いタイミングで投資はしない