蓋と見せ板・見せ玉
株取引をしていると板の状態がいつもと違い、ものすごく大きな買い数量や売り数量が表示されていることがあります。
これはある投資家がこれ以上株価を下げられたくない場合や上げられたくない場合に行う行為なのですが、このことを蓋をすると言ったりします。
なお、蓋は買い方側にとって良いものも、悪いものもあります。
詳しくは株の板にある蓋の目的と買い方にとって良いものと悪いものの違いとはをご覧ください。
また、場合によっては見せ板・見せ玉である可能性もあるのですが、これらの異常な数値を踏まえた上で売り買いする方法を知っていた方が利益を上げやすいので、本日はそのことをテーマに話をしたいと思います。
なお、見せ板・見せ玉とは売買する意思がないのに大量の注文を出し、売買が活発であるようにみせるとともに、時には売りが優勢であるようにし、また時には買いが優勢であるようにみせ、他の投資家に取引をさせようとする行為です。
見せ板・見せ玉は違法ですので気をつけてください。
買いに蓋や見せ板・見せ玉がある場合
下の板をご覧ください。
株価は1007円から992円まで表示されており買い数量も売り数量も500から2000程度なのですが、997円の買い数量だけが78000株と他の値段に比べて圧倒的に多くなっています。
これは何を表しているのかというと、大きく分けると2つのことが考えられます。
一つは俗に言う株価に蓋をしているということです。
つまり、大口などの投資家が997円に大量の買い注文を入れて、これ以上下落することがないように蓋をしているということです。
もし、この銘柄の 1日の出来高が 5~6万株程度しかないのであれば、この78000株の板を下抜けるということはまずできませんし、仮に1日の出来高が10数万株程度あったとして、この78000の板に売りをぶつけてもそう簡単に996円以下に持って行くことはできません。
つまり出来高によってはこれ以上株価が下がらないということです。
このように他の価格と比べて桁が違うような蓋をされてしまうとそれを解消するのには相当な株数が必要になってきます。
この場合に考えられる、もう一つのことは買い数量の78000株が実は見せ板・見せ玉であるかもしれないということです。
しかしながら、見せ板や見せ玉かどうかは実は簡単にわかります。
どうすればわかるのかというと、現在の価格が1000円と999円を中心としたところで株取引が行われていますが、このまま価格が下がり999円・998円となってくると見せ板・見せ玉であれば、そもそも売買する意思がないので997円に近づいた時点で、この78000株の大半を占める見せ板・見せ玉分ががキャンセルされることになります。
もしキャンセルされれば、これは売買の意志がなかったんだなということがわかります。
では、このような時にどんな取引をするのがいいのかということを説明します。
このような板を見つけた場合、私であれば2つの方法のうちのどちらかを取ります。
まず一つ目ですが、株価が大量に注文されている997円になるまで待ちます。
こうすることで、先ほども言いましたがこの78000株という大量の買い注文が約定の意志があるのかどうかが分かるからです。
もし997円になっても、この数値に大きな変化がなければ、これは見せ板・見せ玉ではなく約定の意志がある蓋であることがわかります。
そうなると自信を持って997円の1円上である998円に指値注文を入れることになります。
つまり大口投資家が997円より下に下がってほしくないということですので、998円で購入しておけば値下がりしたとしても短期的には1円で済むからです。
後は、997円がすべて食われてしまうかを見ておいて、厳しそうであれば997円で売って、1円損切りになります。
もう一つのやり方は997円に大量の買い数量が入っていることから、多くの投資家がそれより下になることはないと考えていることと、どうしてもその銘柄を欲しい投資家は998円以上で発注することから、株価は上昇しやすいのでその流れに乗って見せ板・見せ玉の確認をせずに998円などで購入するというやり方です。
このような板であれば、うまくいけば短期的には997円より下には下がらないという安心感がありますので、買いが入りやすくなります。
だからこそ、そこを狙ってその流れに乗ろうという方法です。
このように考えている人は実は結構いますので割と値上がりしていきます。
少しの利益を得ようということであれば狙い目の方法です。
ただし、気を付けないといけないのは、買い数量が多く板が厚ければ、買い方にとって必ず有利とまでは言えないということです。
いろいろな銘柄で取引をしていると、時々数ティックに渡って他の価格よりも注文数が多い場合があります。
例えば、売りの1002円~1000円がそれぞれ1000株ぐらいずつの注文なのに、買いの999円~997円がそれぞれ数万株ずつあるような注文です。
これだけ見ると、買いが有利そうに感じますが、気を付けたいポイントもあるわけです。
このような状況だと999円以下で買うのは難しそうなので、1000円以上で購入することが増えてきます。
そのように1000円以上で買った人が増えた段階で、数万株あった買い板がキャンセルされ売り圧力が強くなると、一気に下落方向へ値動きが加速することもあります。
特に、大きな損失になるのを避けようと、逆指値の売り注文(損切り)を設定している人が多ければ、株価の下落によって、さらに下げの圧力が強くなってしまうこともあります。
だからこそ、通常の日と違うような大きな板がある場合や、他の価格と比べて、大きな板がある場合には注意しておく必要があるのではないでしょうか。
なお、私も以前は逆指値注文を設定していたのですが、現在は設定していません。
その理由や逆指値注文のメリット・デメリットなど、詳しくは株で逆指値売り注文を以前は設定したが現在は設定しない理由をご覧ください。
気配値・板の見方・見せ板・見せ玉・蓋 関連記事
こちらの記事もどうぞ
あなたの株取引にとって役に立つかもしれない投資方法や取引の知識を書いていますので、気になる方はこちらの投資方法からご覧ください。
売りに蓋や見せ板・見せ玉がある場合
今度は逆に売り数量が多かった場合について話をします。
下の板をご覧ください。
こちらも1001円だけが他の価格と比べて売り数量がすごく多く59000株になっています。
これも同様に見せ板や見せ玉である可能性もありますし、大口投資家などがこの銘柄の価格が1001円を超えて欲しくないため1001円に大量の売りを出し蓋をしているということが考えられます。
では買いで考えるとこのような場合であればどうすればいいのかというと、株価が値上がりし1001円になったとしてもキャンセルされることがなければ、この価格で売る意志がある投資家だと思いますので、その場合には値上がりは期待できないのでとりあえず様子見をするのが一番です。
仮にこのような板の時に現時点の最安値である1000円で購入したとしても1円値上がりして1001円までしか上がらない可能性が極めて高いです。
59000株の売りをこなしながら上昇していくためには1日の出来高が10数万株以上が必要ですので 、その出来高がないのであればその日に購入したとしても値上がりは期待できません。
値上がりよりも、1001円に大量の売りが出ていることから、どうしても売却したい投資家がそれより下の1000円や999円に売り注文を出してくることから、さらに株価が値下がりすることが考えられます。
つまり値下げ合戦のようになるので、その点を踏まえてもこのような状況であれば購入すべきではありません。
しかしながら買いの場合も売りの場合も蓋になっている大量の株を上抜けるまたは下抜ける、つまりブレイクすることができれば、それだけのエネルギーがあるということですので 一気にその方向に動くこともあります。
ちなみに、1日の取引内でのブレイクではなく、もう少し長い期間で見たチャートでのブレイクであれば、もっと株価上昇に勢いがつくことがあります。
詳しくはうまくいけば短期間で株価が急上昇する直近高値ブレイク買いとは?をご覧ください。
今回の板でいうと997円の78000株の買いをこなせるだけの売り数量があればブレイクし、996円・995円と下落していく可能性が高いです。
また、1001円の売数量59000株の売りをこなせるだけの買い数量があればブレイクし、1002円・1003円と上昇していく可能性が高いです。
私は、売りに大きな蓋がある状況であれば1001円の数量の59000株が全て買われるギリギリに1001円で買い注文を出して購入し、その流れに乗り利益を得ようと考えます。
このようなやり方だと大きな値幅を取ることはできなくても、勢いがあるため小さな利益は割りと取りやすいので、大儲けしようとまで考えないのであれば、蓋を見つけたときは一応検討はしてみます。
買う買わないはその時の判断ですが・・・
株取引は損小利大を狙うのがいいとは言われますが、現実的には大きな利益をとるのがなかなか難しいですよね。
損小利大について自分の取引で考えてみましたので、よかったら株の売り買いの目標は損小利大がいいのか私の取引経験から考えてみたをご覧ください。
特に、10万円から30万円ぐらいの少額で取引する場合には、多くの株を購入できないことから買い方が重要になってきます。
詳しくは株の元手が10万円から30万円の少額の時に利益を上げる1つのコツをご覧ください。
こちらの記事もどうぞ
なお、蓋があったとしても本当にその金額で売ったり買ったりしたいと思っているのではなく、あくまでも参加している投資家に対してこれ以上は「上に行かせない」または「下に行かせない」ということを示すためにしている意味もあります。
そのため、997円の78000株や1001円の59000株のうちの蓋の分が全部売買される前に注文を取り消す可能性もありますので、見せ板・見せ玉でなかったにしても途中で板の数値が大きく変わる可能性もありますので、重要なポイントでは板を確認したほうがいいです。
板をずっと見続けるのは大変だと思いますが、証券会社によっては設定した金額になったら音やメッセージが出るようにできるので便利です。
また、今回の板は1007円から992円までしか表示されていませんがフル板を使えばもっと多くの価格まで表示されますので流れを読みやすくなることで取引しやすくなります。
音やメッセージが出る設定やフル板については株の口座を楽天証券で開設すると便利なツールを無料で使えておすすめに詳しく書いていますのでよかったら読んでください。
個人投資家は資金面の違いがあって大口投資家や機関投資家、外資などにはかないません。
だからこそ大口投資家などを利用できるところは利用して売買することが儲かるためのテクニックの一つです。
ただし、こればっかりはどの銘柄で、いつこのような状況になるのかがわかりませんので、ある程度運の要素が強いのですが、蓋を利用した売買方法があることを知っているのと知らないのとでは、そのような状況になったときの対応の仕方が違ってきます。
難しい方法ではありませんので、蓋にだまされないように気を付けておきたいですね。
それでは本日のまとめです。
本日のまとめ
- 板にはまれに他の価格よりもものすごく大きな売り買いの数量が注文されていることがある
- 値段を動かされたくないときに蓋をすることがある
- 見せ板・見せ玉は違法である
- 見せ板・見せ玉は価格が近づくと取消しされるので簡単にわかる
- 大量の売り注文があるときには買いは様子見が良い
- 蓋をブレイクすれば株価はその方向に大きく動くことがある
- しっかりとした蓋があればデイトレードなどで小さな利益は割と取りやすい
- 大口投資家などを利用して売買することもテクニックの一つ